ドアモンキー

 

 子育てをしていると、知らなかった便利グッズに出会って驚くことがあります。

 特に、障がいをもつ子どもの子育てをしていると、そのような便利グッズに助けられてなんとか生活が成り立つような側面もあります。


 今日はその中でも、もっともお世話になっているものを紹介します。


 なぜそのような便利グッズを取り上げるかというと、本ブログの目的の一つである障がいを抱えた子どもの子育てに役立ってほしいということもありますが、むしろ「道具を通して、それを使う営みの大事なところが見えてくる」、そのことを考えてみたいという側面もあります。




 さて、今日ご紹介するのは(笑)、「ドアモンキー」という便利グッズです。


 通販みたいな口調で恐縮です。別に私はその会社のまわし者でもなんでもないので、これ以上商品名は控えますが、面白い名前です。猿が木に手をかけてぶらさがっている様子に似ているからではないかと思いますが(ーさほど似てはいませんがー)、なかなかよいネーミングです。


 親が目を離した隙に子どもが、入ってはいけない部屋、トイレ、お風呂などに入ってしまうということはありませんか。うちはわりと多いのです。入ってはいけないというのは、鶴が機を織っているとか、何か隠してあるとか、引き出しのものが引っ張り出されるとか(そういうことはありますけれど)を心配しているのではなくて、重い障がいを抱えた子どもを育てている場合は、危険回避という意味合いが強いと思います。例えば、お風呂にまだ水が入っている状態で、お風呂場に入って行って間違って浴槽に落ちたりしたら危ないというわけです。そのため子どもが視界から外れると、あわてて家の中を探すという具合です。


 大きくなってそういう心配がなくなるとか、言って聞かせればわかってお終い、ということであれば、それで安心ですが、なかなかそうもいかない場合があります。


 家の中ですから外から鍵をかけるというわけにはいきません。トイレなんかだとマイナスドライバーを使えば外から鍵をかけられるのですが、いちいちマイナスドライバーをポケットに入れて家の中をうろうろするわけにもいきません(そうしていた時期もありましたけれど(笑))。

 ドアモンキーは、そういったケースで、ドアにちょっと引っかけるだけで、<子どもは開けられず、大人は開けられる>というまさに「便利グッズ」なのです。


 これで、だいぶ安心しました。子どもが目の届かないところに行っても、まず危ないところには入っていないだろうと。これは障がいを抱える子どもの子育てでは相当ありがたいことなのです。


 最初これを購入して使ったときに、今風にいうと「考えたやつ、天才か」と思いました。

 ただ、ちょっとお高い…(苦笑)。もうちょっと安くなりませんか。




 最初に、「道具を通して、それを使う営みの本質が見えてくる」と書きました。


 つまり、障がいを抱えた子どもの子育ての本質は、「心配」であり、より具体的には「危険回避」なんだということなのです。そういうことを一日中考えているのが、障がいを抱える子どもの子育てなのです。


 これはまぎれもない実感で、同意していただける方も多いのではないかと思いますが、同時に、「だからと言って障がい児の子育てが特別つらいわけではなく、障がい・健常にかかわらず楽しいのだ」と言うことも、急いで付け加えておきたいと思います。


 機会があれば、これからも同じような視点で便利グッズを紹介していきたいと思います。

Ueda Lab (心理療法研究室)

とある大学で心理療法の研究と教育をしています。

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