歯みがき ほめられました。

 先日、長女の定期検診で大学病院の歯科医さんから歯みがきをほめられました。

 とてもよく磨けていて、虫歯もないと。


 長女はまだ一人で十分よく歯を磨くことができないので、毎日僕が磨いています。そういうこともあり、「お父さん、よくやっていますね。褒めてあげてください」と、妻が歯科医の先生に言われたそうです。えへん(笑)。


 障がいを抱えた子どもの子育てについていくつか書いてきましたが、歯みがきも意外に大きなテーマではないでしょうか。


 

 さて、歯に関する問題はいくつかあって、自分で丁寧に磨けない、うがいができない、歯並びが良くないなど、問題は山積しています。

 歯のことで同様に困っておられる親御さんは、案外多いのではないかと思います。

 僕も、長女の歯のケアをどのようにしていったらよいかまだ暗中模索です。


 わが家では、一人でまだよく磨けないために、毎晩僕がひざの上で彼女の歯を磨いています。うがいができないために、今は幼児用のうがい不要なフッ素入りの歯みがきペーストで磨いています。


 それから、学校の先生が、毎日給食の後に歯を磨いてくれています。本当にありがたいことだと思っています。


 そのおかげもあって、長女は虫歯がありません。

 障がいを抱えた子どもにとって歯の治療になると、とても大変なことが予想されるので、まず予防をすることが大切であると考えています。


(余談ですが、近年「インテグレーション教育」や「インクルーシブ教育」ということが言われ、障がい児と健常児がともに地域の小学校で学ぶ機会が増えてきていますが、そのためには細かい工夫がたくさん必要です。そして、このように歯みがきを丁寧に手伝ってくれていることなどは、インテグレーション教育に近づくための一つのありようなのだと実感します。そのためにも、特別支援教育にかかわる専門的な教師がもっと増えていくことを願っています。)



 

 よく障がい児の子育てのアドバイスで、「子どもに手を出し過ぎ」、「それでは自分でできるようにならない」と言う人がいますが、僕に言わせると、少しピントがずれています。そのようなことは親は百も承知です。こういった当たり前のことを大きな声でアドバイスする人がいますが、カウンセラーの立場から見て、そういった類のアドバイスは実際には役に立たないものです。


 なぜならば、「親が手を出さざるを得ない気持ち(あるいは、むしろ出したい気持ち)」を十分汲んでいないからです。問題は、「その気持ちの上でどうするか」なのです。


 僕は、最初は彼女に歯ブラシを持たせて磨かせます。最初にくらべればずいぶんサマになってきましたが、やはりまだまだのところがあります。途中からは僕が磨きます。それでいいと思っています。

 これは子どもの自立を妨げているのでも、もちろん僕が嫌々やっているのでもないのです。


 僕にとっては歯みがきは、ふれあいなのです。幸せなことなのです。

 親子のかかわりなのです。

 

 ですから、「全部親がやってしまってもいい」というほどの気持ちと、「それではやはりいけない」という気持ちの葛藤、そこに自分できちんと触れて、初めて、歯みがきを少しずつ本人に任せていけるのだと思います。


 こういった気持ちの機微が自分の中でぴたっと収まったとき、それぞれの人に合った「障がいを抱えた子どもの歯みがきをどうするか」という問題に対する答えが見つかってくるのだと思います。

Ueda Lab (心理療法研究室)

とある大学で心理療法の研究と教育をしています。

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