ホームグラウンド


 東京に戻って来てよかったのは、なじみの飲み屋に行けることです。


 先日、時間を見つけて久しぶりに顔を出してきました。


 見ての通りの、味わいのある店構えですー(笑)。

 昔は、今とは別の場所にお店を構えて、遅く行くと座れないくらいお客さんが入っていて、若いお客さんも多かったのですが、今はえーっと、ずいぶんゆったりと過ごせます。

 ゆっくりママとしゃべれます(笑)。


 でも、いいんです。もう食べ物が旨いとか駅から近いとか、そういうんじゃないんです。もはや、そこに店があるから行くというだけです。

 

 付き合いはもう20年以上ですから、ママも常連さんも歳をとりました。ママも歳とったなあって言ったら、「ばか言ってんじゃないよ。自分は何歳になったんだよ」と叱られました(笑)。




 自分が学生のときから通っているので、なじみというか、まさに自分にとっての「ホームグラウンド」です。


 まだ学生の頃、クリニックのデイケアでアルバイトをし、その日にもらったお金でそのままこの店に来て、もらった分だけ飲んで帰るという生活でした。

 一人でお店に行って、ママとしゃべっているだけでしたが、しばらくすると、そこで年上の友人ができました。自分にとってほかでは得られないタイプの大事な友人でした。


 ママに言わせると、「昔はあんたはずいぶん気難しかった。ほかのお客と馴染まなかった。よく友だちができたもんだ」ということですが、むむむ、よくわかりません。




 人間の生の姿が見られる数少ない場所、それが居酒屋だと思います。さまざまな経験談、愚痴、ハッタリ、政治評論、スポーツ評論、猥談から感動秘話まで、またそれにともなう哄笑、慨嘆、軽薄、諦観、ないまぜの悲喜こもごもです。

 

 私は心理学の多くを、教科書でなく、この居酒屋で学びました(笑)。


 スイマセン。今日のブログも「酒場放浪記」になってしまいました・・・。



Ueda Lab (心理療法研究室)

とある大学で心理療法の研究と教育をしています。

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