『7つの会議』&<やる気のある者は去れ>
面白い映画を見ました。
最近は新型コロナウィルス対策のために家にいることが多いので、本を読んだり映画を観るチャンスです。
せっかくだからできるだけいろんなものを吸収しておきたい、そう思うようにしています。
少し前まで考えられなかったことですが、現代ではインターネットを使って映画を購入し家で観ることができるようなりました。本当に便利な時代になったと感じます。
『7つの会議』
ご覧になった方も多いと思います。私も少し遅れて観ることができました。
主役の野村萬斎をはじめ香川照之、片岡愛之助、世良公則、鹿賀丈史、...
他にも、こんな端役にこんな大物がというキャスティングがすごい作品です。
それは措いておきましてー
主人公の八角はある家電メーカーの係長で、有給を取ってばかりのぐうたら社員です。八角(ヤスミ=よく休むからでしょうか(笑))は以前は猛烈社員で、出世街道のトップを走っていたのですが、今では全然仕事をせずに職場では居眠りしたり、ダラダラ過ごして、他の社員から顰蹙を買っています。
実は八角はかつて不正を見過ごしたことを悔いて、以後必死に会社に尽くすことをやめて、それこそぐうたらと20年以上過ごしていたのですが、ある事件を機に、自分の会社の不正を暴いていく、という物語です。
ここで単に個人の利益のために不正を働いたという物語ではないところが大事で、いわゆる「組織体質」としてそうなった、業績重視の中で、誰もがやりたくはないんだけど不正に手を染めていってしまったのだ、ということが徐々にわかってくる、その点が素晴らしい作品です。
組織に認められようとするがあまり不正を働いてしまう。むしろ誰も悪くないと言えるところに、問題の根深さと同時に巻き込まれた人たちへの共感を覚えます。
まだご覧になっていない方にもお勧めしたいと思います。
最後のエンドロールで八角が日本型組織の問題点を語る場面があります。
八角は「不正は絶対になくならない」と切り出します。なぜかー。
八角は「日本では、社会全体が生き残ることや個人が生き残ることはおいて行かれて、自分の組織への忠誠心だけが重視されている」、「組織が生き残れば自分は死んでもいいというような、昔で言う藩を大事にするような意識が足を引っ張っているんじゃないか」と言います。
「会社人にとって、組織から外れることはそれほどおそろしいことなのだ」と。
それぞれの組織でおそらく新型コロナウィルスの対応に苦悩しているだろう今の状況だからこそ、この映画の意義が身に染みました。
非常時こそわれわれの働き方が問われます。非常時だからこそその組織の本質が明らかになります。
テレワークと言っているのに印鑑を押しに職場に行かなければいけないとか、メールで十分なのにあえて会議になっているものが多いとか。ありそうです。
本当は行かなくていいのに、何かしら用事を作って職場へ行ってはいないか。必死に働いているようでかえって仕事を増やしてはいないか。
組織大事で、大切なことを見失っていないか。
いったいわれわれは何に尽くしているのかな、と。
我が事として思います。
関連して少し余談ー
<やる気のある者は去れ>
これはタモリさんの言葉といわれて、最近とても気に入っています。
大体ね、やる気のあるヤツっていうのは、中心しか見てないんだよね。
お笑いっていうのは、大体、周辺から面白いものが始まってるから。「アレ?」っていうね。そこから広がっていくから。やる気のあるヤツは、真ん中しか見てない。
(ニッポン放送 「われらラジオ世代」より)
つまり、やる気がある人は視野が狭くなって、面白いもの・大事なものが見えなくなっているのだと。
たしかになあ。
『7つの会議』で八角がいわんとしていることは、これではないかなと思います。
<やる気のある者は去れ>
けだし名言です。
現代のような世の中、特に今のような非常時では、やる気のある人間が求められているのですが、どうも「やる気のある人」が頑張ってかえって仕事を増やしているように見えることがあって、暗然とすることがあります。仕事を増やしているだけならよいのですが、かえって本当に大事なものが置き去りになってしまっているのではないかとさえ思うことがあります。
私は感染症の専門家ではないのでもちろんマスク自体がどの程度有効かということについては判断ができませんが、時間をかけてマスク2枚、というあたりにわれわれ日本人のあり方がよく出ているように感じます。
この日本人には、もちろん私も入っているのです。
自分はまったく組織に向かない人間ですが、なんとか適応しようとし、またそれなりにやっているようなつもりになっていましたが、どうも考え直した方がよさそうです。
<やる気のある者は去れ>
座右の銘にして、仕事に対して実はやる気の乏しい自分のなぐさめとしたいと思います(笑)。
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