スイス滞在記(4)
閑話休題。
(まだこちらの長期滞在の手続きが終わらないため)
今日はスイスの交通の仕組みについて書いてみたいと思います。
感心させられるのと戸惑うのと両側面あるためです。
まず前提として、スイスでは公共交通機関の利用が推奨されています。これは排気ガス抑制や道路の混雑など、環境に配慮しているからだと思われます。なので、基本的には利用しやすい仕組みが整えられています(トラムやバスへのペットの同伴や自転車の持ち込みもよく見ます)。
そして、ある地点からある地点に行くチケットを買った場合、基本的には何を使ってもよいのです。電車で行ってもトラムでもバスでも、手段は何でもよい。バスとトラムを待っていて、早く来た方に乗ることができます。しかも、途中乗り降りしても(有効期限内であれば)OKです。これは楽ですね。
特に、チケットの購入用の専用アプリがすごく優秀で、(クレジットカードを紐付けておけば)最短ルートを含むいくつかのルートと時間をぱっと出してくれるので、時刻表とルート検索とチケット購入やチケット提示がすべて一度にできます。(ただ、日本でもSuicaやPasmoが一枚あれば乗り物は何であれチケットは買わずに乗れますから、あれはあれで便利ですね)
スイスは国鉄のようなSBBと私鉄みたいなZVVにバスやトラム(いわゆる市電ですね)が網の目のように走っていて、移動に苦労しません。しかも、きちん時間通りに来ます。これは「そういう時間」を生きている日本人にはわりとありがたいというか、適応しやすい。電車は新しくきれいで、時間に正確なあたりは国民性でしょうか、日本にかなり近い感覚で乗り物を使える国と言えると思います。
他方、物価の違いもあると思うのですが、(食費や家賃にならって)あらゆるチケットがめちゃくちゃ高いです。例えば、ちょっと10分ほど電車に乗って市内に出るだけで1,000円、往復2,000円ほどかかってしまいます。下手をすると、一日ちょっと電車で移動すると4,000円近くかかることもあります。(こう言ってはなんですが、スイスの物価より円安の影響が大きいと感じます。)
いずれにしても、いろいろな割引制度があるので、それを利用しなければなりません。そうでないととても移動できません。割引制度についてはのちほど。
次に、日本と違っていて慣れないことの一つは、「ゾーン」という考え方です。チューリッヒの場合、州内がいくつかの区画(ゾーン)に分かれていて、チケットは「あるゾーンからあるゾーンへ」という考え方です。つまり、A駅からB駅という買い方と考えるより、Aが含まれているゾーンからBが含まれているゾーンの切符を買うという感じなのです。ゾーン内であれば、どこで乗り降りしてもOKです。
慣れれば楽ですが、一方で、自分が今どこのゾーンにいるか、どのゾーンを経由していくのか、目的地がどのゾーンかよくわからないことがあって混乱することもあります、しかも、「チューリッヒ市内は2ゾーン分の料金ね」とかあるので、もうよくわかりません(もちろんスマホのチケット購入アプリが自動に計算してくれるのですけど)。
こちらの交通の仕組みで一番戸惑うところは、「改札がない」ということです。つまり、道路から地続きで駅やトラムのホームがあって、そのまま乗るということです。チケットの確認はどうするの?ということですが、これが私服警官みたいな人が(笑)ときどき検札が来て、そこでチケットを持ってないと高額な罰金を支払わされるという制度なのです。
下の写真は駅ですが、トラムも含め、もう本当にシンプルです。改札もなく、そのままホームに来られるわけですからー。しかも、駅員さんもいない(!)、到着アナウンスや変なメロディや、落下防止の柵もない、いきなり電車が来て、みんな乗って(誰が最終確認しているのか知らないけど)、ドアが閉まって発車する。
ただ日本だとそういかないですよね。到着のメロディが鳴って、ホームに落下防止のホームドアがあって、駅員さんが旗振って、それを電車の最後尾の車掌さんが確認してドアを閉めて、ドアが閉まったか確認して、出発ですものね。丁寧。あれを知っていると、おいおい大丈夫かと思ってしまう。お年寄りや子どももいるし、乗り遅れそうな人もいるように見えるけど(笑)。
さて、「改札がない」。これがシンプルでよいところも多いのですが、何か不安なんです(笑)。チケットは先に述べたように、事前にアプリで買って乗るのですが、慣れていないので、本当に正しいチケットを買っているのかな?と思いつつ乗ります。で、検札の人はめったに会わないのですが、逆に、会うと急に近づいてきて「チケット見せろ」的なことを言われるので、怖い。僕だけかなあ。
改札があったら、そこで合っているかどうか、合っていなかったら指摘してくれるか、間違っていたら改札を出るときに精算できるので安心して乗れるんですけど、何もなくていきなり「ダメ」みたいな。
「改札がない」というのは、慣れれば便利というか、早いのですから(駅という概念がなくなる、乗り場があるだけ)合理的でよいのですが、なんとなく守りが薄い感じというか、不安なのです。きちんと確認して乗り降りしたい。
ここでもまた自分の「日本人」を自覚するのでした。
余談ですが、2ヶ月生活して、検札に会ったのは今のところ一度だけです(3人組のふつうの服を着たおじさんでした)。それ以外は本当にチケット買う必要あるの?という感じで何もないんです。すごいですよね。スイスに住んでいる人は普通なのかもしれないけど。性善説に基づいているのですね。
ちょっと笑ったのは、電車の中に「自制心」というドイツ語が書かれてあって、「ちゃんとチケット買いましょうね」という意味だと思うのですけど、面白いです。
最後に、高い高いと言っている交通費ですが、いくつか割引制度があるので、備忘録的に書いておくとー。
まず、往復チケットを買う方が得というのがあります。
SBBモバイルアプリで、地点から地点へのルート検索の後、購入画面に移ります。通常の片道チケット(もう高い)を購入すればQRコードが画面に表示されるので、それがチケットになります。片道は有効時間が1時間ですが、往復チケットを買えば24時間有効なので、上手く使えば往復チケットの方がお得です。
さらに半額カード(Half Fare Card)というものがあって、これを事前に購入しておくと(旅行者は1ヶ月版、居住者は1年版)基本的にすべての切符を半額で買うことができます。日本で言う「みどりの窓口」的なところでを購入すれば、SBBモバイルアプリに連携され、チケット購入時に自動的に1/2の価格になります。
あとは子どもにはJunior Cardというものがあって、これも事前に購入しておくと、保護者のSWISS PASS(という交通系基本ID)に紐付けられて、保護者と一緒に乗っている場合は無料になります。
それから、子どもの夏休みに合わせて「夏休み限定パス」というのがあるらしいです。それを申し込むとある夏のある期間、子どもは電車やバスなどが無料になるそうです。
他にも、「早割」みたいなのとか、「1日フリーパス」とか、旅行をする人にとってはかなりお得なチケットもあります。
なので、スイスの交通は基本的には非常に高額ですが、かなり便利で正確、そしていろいろな割引制度がある、というふうにまとめられると思います。
今回は、交通の仕組みから(改札がないとちょっと不安という)日本人のとしての自分の心性を考えることになったのでした…。
(駅、こんな感じで、なんというか本当にシンプル。こういうのでいいのかもしれない。)
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