卒業論文口頭試問会2018

 卒業論文は、書き上げて終わりではなく、それについて発表し、意見や評価をもらうところまでを含みます。
 今私が所属している大学では、それを「口頭試問」と呼んでいます。

さて、上田ゼミは最後の関門を乗り越えることができるかー(笑)。

 事前に「おそらくこういう点は質問がある、批判があるでしょう、それについて答えられるようにあらかじめ準備しておくとよい」と言ってありましたから、なんとか答えられたようです。

 質問や意見や問題点があることは研究において当然のことですから、大切なことは、自らそれを意識して先に対応を試みることです。
 このことをアメリカの論文審査でdefenceと呼ぶそうですが、まさに言い得て妙でしょう。

 このdefenceの技術も、卒論制作を通して身につけてほしいものの一つです。



 私が学部時代から博士論文までお世話になったN先生は、本物の研究者というべき先生で、論文執筆を通した先生との対話は、今でも私を支える柱となっています。


 そのN先生が、私が博士論文の審査でdefenceする側にまわった(笑)ときにおっしゃっていたのは、「研究というものの性質上、改善点・問題点は際限なくあり得ますから、貴兄が尤もであると判断されたものは取り入れ、枝葉末節のこと、見当外れのことと判断されたものは、さりげなくかわせばよいでしょう」ということでした。

 自分の論文に自信がなかった私は、その言葉でなんとか自分の口頭試問をやりきることができたように思います。


 たとえば、データの属性や数についての指摘は、どんな研究であっても言えることですから、本当に重要でない限りは、卒業論文のレベルではあまりコメントしないようにしています。言うと、学生は、すぐにそれが自分の研究のもっとも大きな反省点だと思ってしまうためです。


 N先生は、このようにも言ってくださいました。

「学位論文は、研究の一里塚ですから、ゴールと思う必要はないと思います。頑張って、現時点で自分なりに筋道がついたものを、素直にまとめればよいのです」と。


私の学生にも伝えたい言葉です。

(早く言ってあげればよかったかな(笑))



2017年度 上田ゼミ 卒業論文テーマ

1.青年期における「いたたまれなさ」の一考察

2.音楽によって起こる情動の変化についての一考察

3.他者からの被受容感が被援助志向性に与える影響について

4.親密感による自己開示の抵抗感と内省傾向の関連について

5.現実場面とTwitter場面における大学生の自己開示の違いに関する一考察


Ueda Lab (心理療法研究室)

とある大学で心理療法の研究と教育をしています。

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