『すばらしき世界』


 だいぶ前のことですが、観に行きました。よい映画でした。


 なぜ観に行ったかというと、昨年度のことですが、大学院生が最後の授業で寄ってきて、このポスターを見せながら「先生、似てる」「観てきてください」って言うので。

 もちろん役所広司さんのように格好よくも、まったく渋くもないのですが、このポスターに似ているとすると、もしかしたら自分が思ってるより怖いおじさん顔なのかもしれません・・・。学生にはそういう感じで見えてるんかーと(苦笑)。


 いずれにせよ評判のいい映画ですし、観に行ってみようと。




 主人公はかつてトラブルから殺人を犯してしまった元ヤクザで、長い刑期の後、刑務所を出所するところからスタートします。今度こそカタギにと生き直そうとするのですが、社会は元受刑者に冷たく、とても簡単には行かない。しかも、(今だと何か診断がつけられてしまうのかもしれないと思うほど)不器用で実直な生き方を変えられないため、日々の細かいことでことごとくトラブルが起きてしまう。それでも、周りに助けてくれる人が少しずつ増えて、主人公の生き方に惹きつけられる人も出てきて、少しずつ少しずつ変化がある。それでも・・・という映画です。




 無理に仕事にからめて言うと、犯罪を犯してしまった人の社会復帰や再犯予防は、司法領域で働く心理職の重要なテーマです。「公認心理師の職責」という授業で、司法犯罪分野の話をするときの参考にもなりました。


 それはそれとして、物語にどっぷり浸かるという体験は大変よいものです。


 ハリウッド映画のようなスケールのものを作ろうとすると品のないちぐはぐなものになりがちですが、こういう生活感のあるものだと日本映画はまだまだよさがあるなあ。


 関心のある方はぜひ観てみられるとよいと思います。


Ueda Lab (心理療法研究室)

とある大学で心理療法の研究と教育をしています。

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