読書体験とKindle体験


 昨今の新型コロナウィルス感染症の情勢とその対応で、いろいろなお仕事に影響が出ているようです。

 合わせて子どもたちの学校も休校になり、大変な日常生活をお過ごしのご家庭も多いのではないかと思います。

 わが家も同様です。


 ブログの記事にも気を遣う時期です…(苦笑)。




 この時期、親も子どもも家にいる時間が長くなり、読書が見直されていると聞きます。

(と言えば、私自身がたくさん読書をしているように聞こえるのですが、さほどでもなく、またこういう時期だからこそ子どもにたくさん本を読ませたいのですが、それもさほどでもなく、子どもとも一緒にYouTubeを見まくっているという…。それはともかくとして)


 さて、最近は電子書籍で本を読む方も増えてきたのではないでしょうか。

 今ちょうどこういった状況ですので、書店に買いに行かずともオンラインで本が手に入るというのは大きなメリットかもしれません。


 電子書籍(この場合はKindleということにさせてもらいます)の便利さというのは、大変魅力的です。


 かく言う私もKindleを使っています。現在は2台目の<Kindle Paperwhite 32G>を使っています。


 ただ、私はKindleで小説などの本はほとんど読まず、マンガを読むことが中心になっています。

 特に「キングダム」が好きなので、新しい巻が出るごとにオンラインで購入し、Kindle端末で読んでいます。「キングダム」はまだまだ相当続きそうなのでKindleにしておいてよかった...(今56巻ですけど、まだまだ序盤だと言います(笑))。家の中があやうく「キングダム」だらけになるところでした。


 余談。




 紙の本を読むことと、それをKindle端末で読むこととはやはり何か違います。これについては、多くの方も異論はないと思います。

 そこで、今回のブログは、紙の本で読むこととKindle端末で読むことは何が違うのだろうかということを考えてみたいと思います。


 書かれてある「情報」という意味では紙の本も電子書籍も同じですが、「体験」ということで言えば(当たり前ですが)違う「体験」です。

 このあたりを切り分けて考えておかなければいけない。

 もうすでに、そういう研究もあるのではないかと思います。(ただ実証的な研究は少ないようです。どなたかやってみてほしいものです。)


 ここでは、本を紙媒体で読むことを「読書体験」、Kindleでそれをおこなうことを「Kindle体験」と呼んでみたいと思います。


 価格や購入方法の違いについては、ここでは問題としません。それらも電子書籍が大きく発展した要因だと思いますが、ここでは「体験」の違いにフォーカスしてみたいと思います。

 それぞれの媒体で読んでいる、まさにそのときの感覚の違いはどのような性質のものなのだろうか。

 もちろん、どちらが優れているというような議論はおかしいでしょう。そもそも違う「体験」ですから。


 皆さんはどのようにお考えでしょうか。


 重さや手触りの違いはあるでしょう。

 紙の匂いということも案外無視できない要因であるように思います。

 表紙や奥付が常に目に入ってくるということも影響があるような気がします。


 また、見開きになるかどうかということがあります。Kindleだと見開きにはならず、基本的に1ページずつ目に入ることになります。ただ、絵本やマンガは意外に見開きで絵が描かれていることがあり(キングダムはこれが多いのです(笑))、その見開きいっぱいの感覚はKindleなど電子書籍では得られにくい感覚だろうと思います。(厳密に言うと、電子書籍でも見開きは可能ですが、画面は同じですので見た目は小さくなってしまいます。)


 それから、色彩も関係しているかもしれません。Kindle端末だと白黒でしか表現されません。もちろんタブレット等の端末を用いればカラーで見ることはできるので、これは大きな違いとは言えないかもしれません。




 私が、短いKindle体験で、まだあまり言われていないようなこととして感じているのは、一種の「予感」とか「余韻」が紙の本による読書体験にはあるように思う、ということです。

 個人的には、かなり本質的な違いではないかと感じているものです。


 紙の本だと、(今の目の前に開いているページだけでなく)まだ開かれていない先のページのことをどこかで予感しながら、そしてすでに読み終わって目には見えていない(過ぎ去ってしまった)ページの余韻もそこに感じながら、字を追っているような感覚がある。本を実際に手に取っている重みや厚みがあるからでしょうか。


 一方、内容を「情報」として考えれば、すでにダウンロードしているという意味でKindle端末の中にも背景としてそのページ以外の「情報」はあるわけですが、目の前の画面に映っているもの以上のものをそこに感じることができない。ぶつ切りで情報が与えられているような感じがするのです。


 言い換えると、紙の本で読んでいるときには、一種の「流れ」の中にいるような感覚があるのですが、Kindle端末だとそれが感じられないのです。

 これはごくごく個人的な感想で、他の方のいろいろな意見も聞いてみたいような気がします。




 あと、マンガの場合、紙の本で出た1ヶ月後にならないとKindleに配信されないのはなんとかなりませんか。

 「キングダム」の最新刊が待ち遠しいです(笑)。


Ueda Lab (心理療法研究室)

とある大学で心理療法の研究と教育をしています。

0コメント

  • 1000 / 1000